土建業界の人手不足の解消方法

三橋さんが提起している建設業界の人出不足をどうやって解消していくか?というお題、自分なりに考えてみました。あちらのコメント欄でも何度か書いたことがあるのですが、遅れ馳せながら少し整理してまとめてみます。

【現状の課題】
1.人手不足
2.労働者層の高齢化
3.技術の承継、品質の維持
4.雇用の不安定
5.土建業界への不当なバッシング

ざっくりこんなところでしょうか。あっさりと書きましたが極めて深刻な事態です。これらの問題はすべて関連しており、個別の解決策ではいずれ何かが破綻します。
三橋さんが提唱する「公共工事における賃金単価の高値安定」はもちろん必要なことではありますが、希望的観測の要素が強すぎる気がします(稼げるようになれば人が戻ってくる【だろう】ってことですからね)。ですのでそれだけでは上に挙げた諸問題の解決としては無理(というか不足)があると思います。

そこで、無い知恵を絞って以下のように考えてみました。

【解決策】
「人が足りないなら連れて来ればイイじゃない」とのたまう安直な方が多いようです。土建業界の人手不足を移民導入によって賄った場合のデメリットについては、既に三橋さんが散々繰り返し書かれていますし、全面的に同意しますのでここでは述べません。私はもちろん移民なんぞ断固反対ですので、そんな愚策に頼らない抜本的な解決策を考えました。

【雇用型の公設専門学校の創設】
箇条書きですみません。文才がないとこういう時に困りますね〜

・国防のための防衛大学校があり、治安維持のための警察学校(大学校)があり、消防のための消防大学校があるように、国土強靭化のための「土木技術学校」を創設する
・防衛大学校、警察学校、消防大学校と同様に、政府(国土交通省)直轄の雇用型専門技術学校とする
・本校設置の目的は「災害多発国家日本に資する人材の育成と適正な技術の承継
・期間は二年程度。全寮制とし、設計や機械操作、監理、監督などの実学を徹底的に学ぶ。
・入校期間中は国家公務員としての身分保障の上、適正額の給与を支給する。国籍要件があり、採用試験を行う
・災害出動や卒業制作的な土木工事、民間での現場実習も行う。
・卒業後の就職先は原則として国土交通省の実働部隊(公共工事を国が直轄して行う部局の創設も並行して行う)。ただし民間企業への就職も制限はないが、いわゆる公共工事遂行のための技術学校であるため、民間企業が必要とする技術習得の場とはしない。

【国家としての意思を示せ】
どうでしょう?弊害はとりあえず置いといて、課題として列挙した1〜4についてはカバーできると思いませんか?工事と一言で言っても安全な足場を組んだり、コンクリートを流し込むための枠を組んだり、クレーンの設置、ダンプの運転、生コンの調合、鉄筋の溶接などなど、私のような非力な一般人には思いも及ばないほど広範囲に渡るノウハウを必要とします。これらを体系的に学んでもらおうという趣旨のものであります。
体力勝負的な職業ですから半年でムキムキのキン肉マンになるような鍛錬も「国家として」行います。

また、サラッと書いてしまいましたが、公共工事を国が直轄で行う部局の創設も必要です。位置付けとしては自衛隊、消防、警察、税務署と同じく「国のことは国がやる」のもアリだと思います。
というか、むしろ災害多発国家であるにもかかわらず、実際の仕事は「やりたい人がやればいい」的に民間任せにしていいものか?といつも疑問に思います。そこには「国民の生命と財産を自然災害から護る」という理念は感じられません。国防が本懐の自衛隊が何故災害出動なるものを恒常的にやらなければならないのか?自衛隊や警察、消防の職員は尊ばれる一方、形は違えども道路工事や河川工事のおっちゃん達が蔑まれるのは何故か?やってることの本質は同じなのに?
これは課題の5に挙げた不当なバッシングと密接に関連しますが、国家としての明確な意思を示して初めて、本来尊ぶべき公共工事をバラマキ呼ばわりする輩も撲滅できるのではないかと考えます(そもそもの根源はこの不当なバッシングにあるとも言えますね)。

この学校では藤井聡学校長自らが教鞭を取り、築土構木の理念と尊さ、国土強靭化には終わりがないこと、生徒諸君の使命は国民の生命と財産を護ることにある旨を日々語り倒します。妙なコンプレックスを払拭する必要がありますからね。その毅然とした姿勢は間違いなく社会に伝わるはずです。

【考えられる課題】
・民業圧迫
民間がやってたことをいきなり政府がやることはできません。初めは今まで通り民間への発注が主体となりますが土木学校卒の専門職が増え国土強靭化の部局の充実に伴って徐々に移行していくことになります。
また、純民間の工事もあるわけでこちらの人材不足が生じることも考えられます。この辺については考えが及んでません。悪しからず。

・財源問題
民間に外注していた費用と、当面は長期の建設国債を充てます。「金は天下の周りもの」ですから景気が上向くに連れて先行投資した分は税収で回収できます。あまり深く考えてはいません。悪しからず。

・国民の理解
これが一番の壁となりそうです。それ以上に安倍政権下で可能かは疑問ですが、逆に言えば国土強靭化基本法を通した安倍政権だからこそ芽のあることかもしれません。

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以上、こんなことを考えてみました。弊害やクリアすべき壁はあるものの、考えれば考えるほど諸問題の解決策としてはこれしかない!と思うようになりました。ご意見があれば承りますのでコメントよろしくです。

 

<追加>

首都高の補修工事。こんなの落っこちないように組み上げるには外人さんがいたんではムリでしょ。

 

ちなみにこの真下には神田川が流れてますので、下から資材を持ち上げて組み立てるのは不可能。実際にそんな作業は見かけませんでしたし。おそらく上から吊り下げて組んだのだとは思いますが、高架の底の裏側(動画で見えてる部分)の足場はどうやって組んだのか、まったく想像できません。