利権団体は強かった、という話(消費税関連)

公正・公平を謳いつつ一皮むけば弱肉強食の消費税の世界。以前記事にした非課税売上にかかる課税仕入れの仕入税額控除の負担問題、栄えある一逃げgetは「医療関係」でした。

 

医療機関に「仕入れ控除」検討…消費税10%時

自民党は10日、消費税率引き上げに伴う医療機関の負担を軽減するため、医薬品や医療機器などに仕入れ税額控除の適用を検討する方針を決めた。
「医療と税制に関するプロジェクトチーム」(仮称)を11日にも設置し、年末にまとめる2014年度税制改正案で方向性を出す方針だ。15年10月に予定される10%への引き上げ時での実現を目指す。

医療費は消費税の非課税対象となっており、医療機関に対しては、仕入れ税額控除が適用されていない。代わりに、厚生労働省は消費税導入時と5%への引き上げ時に、医療機関が受け取る診療報酬を計1・53%上乗せした。しかし、仕入れ時に消費税を払っているのに患者には転嫁できず、医療関係者から「税負担が大きい」と改善を求める声が上がっていた。

(2013年4月11日13時15分  読売新聞)

 

細かい税法などがどうなるかは別として、医療機関は経費の支払いにより発生した消費税相当額の還付を申告することによって受けることになります。これ自体別におかしくはありません。「自分が仕入業者に払った消費税」が税務署経由で帰ってくるだけの話だからです。問題はそこじゃない。

ここで一番問題とすべきは 『圧力団体(強者)』が真っ先に負担を逃れる、ということ。医療機関と言っても大病院からうちの近所の中村内科・小児科医院みたいな小さいところまで多種多様でしょうけれども、バックには医師会という同業者団体がいるわけです。こういう団体を抱えているところは負担減免を受けることが出来るという前例を、今回作ったことになります。

 

現行の消費税法の非課税取引は、条文において限定列挙されています。ざっくり以下の通りです。

  1. 土地の譲渡、土地の貸し付け(不動産さん)
  2. 有価証券等の譲渡(株式トレーダー)
  3. 利子を対価とする金銭の貸し付け、保険料を対価とする役務提供(銀行、保険屋さん)
  4. 切手・印紙・商品券の譲渡(郵便局、商品券売る人)
  5. 行政の手数料、外国為替手数料(お役所、銀行)
  6. 健康保険法等の規定に基づく資産の譲渡等(病院関係)
  7. 介護、社会福祉、更生保護などのサービス(デイサービス、保育園など)
  8. 助産サービス(産科)
  9. 埋葬、火葬(葬儀場など)
  10. 身体障害者用物品の譲渡、貸し付け、役務提供(車いす、補聴器などの販売)
  11. 学校の授業料、入学料など(学校)
  12. 学校の教科書(出版社)
  13. 住宅の貸し付け(大家さん)

(同じ非課税取引でも、1~5は「そもそも課税することに馴染まないため」、6~13は「保護政策の観点」それぞれ非課税とされる主旨が違います)

 

今回の措置は、6の「健康保険法等の規定に基づく資産の譲渡等」(=お医者さんに支払う医療費)が「非課税売上ではなくなった」のではなく、「非課税なんだけれどもお医者さんが支払う経費にかかる消費税をお医者さんに還してあげよう」、ということ。措置としてはアリと言えばアリですね。でもねえ、じゃあほかの非課税業種(7~13)はどうすんのよ?と思いませんか?それぞれに国民生活に必要なものですよね。当たり前の話ですが、還付をすればその分税収は減ります。当然そのしわ寄せは最終的には最終消費者へ向かいます。また、非課税と輸出免税(=0%課税)の違いが曖昧になりました。つまり、法体系として辻褄が合わなくなる恐れも出てきます(もちろん何も決まってませんけどね)。

 

もう一点、この措置により「牙城が崩れた(前例を作った)」ことによって、「オレもオレも」と非課税認定を受けようとする団体がこれからウンザリする数出現することでしょう。そして、発言力のある団体から「消費税の還付利権」をもぎ取っていくことになる、とあえて断言しておきます。そう。新聞図書関係みたいにね。そして「自分たちはもはや関係ない」と頬被りするのですよ。

また、これから軽減税率なる面妖なものの導入も検討されているようです。これについてはある程度情報が集まってからまとめてみますが、これも利権の巣窟になりそうですね。だって、たとえば食料品。嗜好品はフル課税、必需品は低率課税。線引きどうすんの?誰が決めるの?金持ちは嗜好品を気にせず買いまくり、貧乏人は税率低いのを目の色変えて買い求める。食料品購入の原資はどこか。借金返したあとの残りの可処分所得ですよね。そこからさらに徴税されるのであれば、所得の低い人は自然と「安いもの」に流れる。なんだか惨めですねえ。。。こんなんでいいんでしょうか?

で、いろいろ複雑にした挙句、税収って増えるの?

私にはこの先にあるものはさらなる増税しかないように思えますよ。景気落ち込んだらどうするの?みんな死にますよ。

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利権団体は強かった、という話(消費税関連)」への2件のフィードバック

  1. 全くその通りだと思います。非課税により控除できない消費税を事業者である医療機関等が負担するのは税の在り方としては最高する必要があるでしょう。
    ただし、非課税にした理由を考えると生命に関わる業種であるがゆえに非課税にしたのではと思うと、税の公平性の観点から一業種に限って課税取引に改正するのはいかがなものか。
    また、医療機関が収入の糧とする診療報酬等の公的保険を課税にし、さらに軽減税率化の適用を認めると他の非課税業種、ならびに現在課税業種でも政策保護求める業種などからも陳情があがるといった業種間調整、食料品などの生活必需品目といった品目ごとの税率を決定する、これらはすべて税収に影響を与えるので収拾がつかないのは諸外国の例からも明らかだということは十分想定できることです。
    医療を課税化以外に異なる合理的で賢明な方法も絶対検討すべきです。
    なぜなら患者である我々国民に必ず負担として帰ってくる問題だからです。

    • 匿名さん、おはようございます。コメントありがとうございます。

      上の方で挙げました非課税項目は仰せの通り相当の理由があってのものです。ので、医療収入(というか社会保険診療報酬)が非課税とされているのは納得の行くところであります。

      課税体系の面から考えて手っ取り早いのは、社会保険診療を非課税ではなく免税(0%課税)としてしまうことですね。そうすれば仕入れにかかる消費税額は矛盾なく還付されます。
      非課税のままで還付を受けられるようにするためには現在の法律のままでは特例中の特例みたいな扱いにせざるを得ませんし、免税扱いにするとしても、お察しのように他業種との兼ね合いから無理があり過ぎます。そしてトータルで考えてもおかしなことになるんですよね。

      この記事含めた【消費税関連】のカテゴリーで訴えたいのは、究極的にはズバリ「消費税法の廃止」ですが、根本的な理由としては

      「取れるところから取るのが徴税の基本ならば、消費に課税するんじゃなくて所得に課税する方が公正公平じゃない?」

      というものです。消費税の多段階課税は「負担の順送り」です。どこかに皺寄せが必ず来ます。それらの負担を軽減しようとすると、仕入税額控除を認める形を取らざるを得ない。そこには政策上の恣意性から利権が芽生えますし、税収の増加というそもそもの目的が達成できなくなる。そうすると更なる増税を指向するようになるはず。
      で、低所得者の負担をどうするか?と立ち止まって考えると、品目ごとの複数税率なんて話になりますが、だったら初めから中〜高所得者に重課すればイイじゃん!となります。じゃあ廃止できるのか?税率下げられるのか?というとなかなか簡単には行きません。

      TPPが落ち着いたら増税するかどうかが次の焦点になります。別記事で挙げたようにすでに綱引きは始まってますし、麻生副総理の発言についても偏向報道がなされていたりします。ボチボチではありますが色々書いていきますので、今後もご意見いただければ幸いです。

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