くたばれ消費税 3/4

前回 は、消費税の多段階課税は新自由主義的な弱肉強食の世界そのもの、という話をしました。今回は

2 非課税と免税の違い

ということで穿った見方?をしてみます。
みなさんはこの二つの違いを明確に把握してますか?所得税でいう非課税と違って、消費税的には「非課税≠有利」(非課税が課税よりも有利とは限らない)という話です。

2 非課税と輸出免税 -非課税は課税より不利!?-

消費税の課税体系で、よく混同される言葉で「非課税」と免税」の二つがあります。

課税取引のうちで輸出取引に該当するものについては消費税を免除されます。これは俗に「0%課税」とも呼ばれ、消費地課税主義の原則と輸出企業の国際競争力低下を防ぐためです。

消費地課税主義とは財・物・サービスを「消費する場所で」課税するということです。秋葉原や空港などに「免税店」なるお店がありますが、これも一種の輸出取引です。免税店で買ったモノが出国の時点で「消費されている」とみなされると、5%相当額を税関で納税しないと出国ができません。免税店でラジカセを買った中国人が、wktkするあまり飛行機に乗る前に開封したりすると税関で徴税されるはずです。日本人がフランスとかに旅行して出国税関で還付を受けるのも同じ理由です。開封したらアウトなんじゃないかな?飛行機すら乗ったことないのでよく知りませんがw
要は法施行地外で「消費」される物品に対してまで課税はしない、国内で消費した以上はちゃんと消費税を払いなさいってことです。

国際競争力云々についてはそのまんまの意味です。外国が100円で物を売ってるのに日本だけが105円じゃ不利でしょ?ということ。
ただ、ここで忘れてはいけないのは消費税の輸出免税とは「税率0%で課税する」ということです。「課税しない」のではありません

一方で「そもそも課税しない」のが非課税。非課税取引とは財物サービスの対価としての性質を有する売上のうち、政策的な観点やそもそも消費税を課すことに馴染まないものとして、例外的に課税しないとされるものを言います。よく知られてるところでは土地の売却、住宅の貸付、社会福祉事業サービス、学校の認定教科書などでしょうか。

両者は似てるけど違う。では納税額の計算では何が違うのか?というと、「仕入税額控除」の扱いです。

消費税の納税額の計算は年間の全ての売上にかかる消費税から支払い(以下「仕入れ」)にかかる消費税を引いて計算します。この仕入れにかかる消費税を引くことを「仕入税額控除」と言います。多段階課税の図で確認していただいたとおり、入ってきた消費税をそのまま納税する訳ではない、ということです。

仕入税額控除は、基本的に課税と非課税の両売上に占める課税売上の割合でしか控除できません。これから具体的に違いを考えてみます(細かい手続きの話とかは無視します)。

A社 車椅子製造販売業(売上は消費税非課税
経費500万円払って1000万円を売上
B社 ラジカセ製造輸出業(売上は消費税免税
経費500万円払って1000万円を売上
両社とも使う材料は同じと考えます。あり得んけど。

A社の売上は全額非課税売上です。課税売上割合は0%ですので控除できる仕入税額は
500万円×5/105×0%=0円
となります。
つまり税務署への納税がない代わりに還付もありません。(注:「×5/105」とは支払いの対価に占める消費税相当額の割合です)

B社の売上は全額免税売上です。課税売上割合は何%でしょう?ハイ。1000万円の免税売上は「税率0%の課税売上」ですので、課税売上割合は100%です。ということは仕入税額控除額は
500万円×5/105×100%=約23.8万円
納税額は
0円-23.8万円=-23.8万円(還付)
となります。

よく分からないかもしれませんが、消費税相当額を仮受仮払の概念で捉えてしまうと、免税では還付が受けられるのに非課税では還付を受けられない理由がイマイチ掴めません。

消費税は事業者の課税売上に課される

です。「消費者の支払いに対して課税される」ではありません。ここの分かりにくさこそが消費税法の良く考えられた、かつ悪魔チックなところです。

ここで言いたいのは輸出業者が還付を受けることがいいとか悪いとかではありません。非課税売上を主とする事業者が仕入税額控除を受けられないことです。土地転がしや有価証券売買も非課税ですが、社会福祉事業、障害者関連事業も非課税です。

A社が得る売上は非課税売上ですが、仕入れる原材料には消費税が転嫁されているー原材料を販売する事業者は相手が誰であろうと売上は課税されます。つまり、入ってくる消費税が「ない」のに支払う消費税はある、しかも仕入税額控除の対象にはならず、納税上何ら考慮されない(仕入で払った消費税も払いっぱなし)、ということです。

もし現在言われているように「景気が良くなってきたら税率を上げる」ことになるとすれば、A社の仕入先が増税分を販売価格に転嫁してきたらたまったものではありません。政策的観点から非課税とされている売上のせいで、かえってA社の負担は増えることにもなります。
車椅子の販売が消費税非課税とされるのは、それを使用する人(最終消費者=障害者)の担税力を考慮したためですが、A社が車椅子を作るためにかけたコストには消費税は否応なしに課税されます。増税のしわ寄せがどこに来るかは明らかですよね?
消費税率が上がったからと言って一般の事業者と違って非課税売上の事業者が販売価格に転嫁することはなかなかしにくいはずです。してもいいですけど、それでは何のための非課税扱いなのかって話になりますからね。これって何か変だとは思いませんか?

消費税の課税か非課税か免税かの判断は、売上相手が誰かを考慮しません。売上相手が外人だろうと子供だろうと金持ちだろうとビンボー人だろうと、非課税は非課税、免税は免税、5%は5%、10%は10%です。「消費の対価」に課税するから消費税なのです。

5%→8%→10%と上げることは簡単でしょう。でもその裏で理不尽な負担を被る事業者が出てくるのは無視できません。「誰にでも公平な課税」なんて化けの皮剥がせばこんなもんです。ここにも新自由主義的な発想が見え隠れしてます。

ということで、多段階課税と非課税・免税の論点から

消費税の課税体系は「誰でも公平に○%」と言いつつ、しわ寄せは【必ず】弱者へ付け回される

という理不尽な構造を見てみました。どう思われたでしょうか?他にもいくつかあるんですが、課税体系についてはマニアックすぎてくたびれるでしょうから、もうこの辺でやめときます。お疲れさんでしたww

次は、もし「税率を下げよう」となった場合の困難さについて徴税技術上の問題から考えてみます。

<補足>

  1. 非課税売上しかないならそもそも課税事業者じゃない」とか、「個別対応方式vs一括比例配分方式」とかいろいろあると思いますが、その辺りの細かい話は本筋ではないので全て無視させてもらいました。
  2. 「輸出業者が消費税の還付を受けるのはけしからん!」という話がたまにありますが、あれは別に国庫に入るべき税金が企業に還付されている訳ではありません。あくまでも差引がマイナスになるだけ(自分が払った消費税が返ってくるだけ)の話です。むしろマクロ的に見れば国内生産、海外輸出の企業の勢いが削がれることは内需拡大を旨とする我が日本にとっても好ましくはありません。輸出免税そのものに非はないと考えます。まあ、経団連が増税我関せずとばかりにけしかけてくるのは頭が悪いとしか思えませんけどね。
  3. 「だからこその軽減税率」なんて話も眉唾モノです。非課税取引に該当するか否かは限定列挙ですから多分に恣意的なものとなり得ます。軽減税率は非課税とは違うようですが、「軽減税率を求める新聞協会声明」早々とこんなこと言ってくる利権団体もあるわけですよ。散々増税煽っておいて自分たちは減免してもらおうって魂胆。こんなのがこれからぞろぞろ出てくるはずです。もっと言えば、お金払うだけですから買う側はいいですよね。でも売る側は相当に経理処理が複雑になります。こんなの導入しても喜ぶのはシステム屋さんくらいじゃないでしょうか?「痛みを分かち合う」なんて冗談じゃない。カネも労力も負担は常に「弱者」に押し付けるのが消費税法の理念と言い切っても過言じゃありません。
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くたばれ消費税 3/4」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 利権団体は強かった、という話(消費税関連) | ELG35's Blog

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