負債の時価評価

前回は購入した有価証券の時価が上がった場合(評価益)について簡単にまとめてみました。今回はX社の属する世界の会計基準が「負債も時価評価すべし」というルールだったら、その貸借対照表と損益計算書はどうなるか、について考えてみます。

お断りしておくと、私はアメリカの会計基準についてはほぼ無知に等しいです。また、日本において現行の会計基準が原則として「負債の時価評価はしない」こととされているため、あくまでも「時価評価したとしたらこうなる」という話です。おそらく今後近いうちに日本でも、少なくとも大企業では負債の時価評価も当たり前のようにされることになるとは思いますが、その基準は決まっていないため、施行されるであろう基準に基づくものですらありません。
ここで考えようとしていることは負債の時価評価によって発生する損益の「意味」ですので、予めご了承ください。

、、、と逃げを打ったので本題に入りますw

まず今まで見てきたことのおさらいです。

  • 自社債の評価が下がるということは、自社の市場における信用状態が悪化したことによります。
  • 信用状態が下がるということは、その企業の持つ資産価値(=純資産額)または収益力が下がった結果です。
  • 今までの例ではX社の総資産の内訳は、日本国債とA社社債と現金ですので、A社社債の時価が下がったことがX社の発行する(負債に計上されている)社債の評価に繋がることになります。
  • 現金と国債の評価は変わらないものとします。現金は日本の通貨、国債の時価は変動しない、という前提です。

これらの前提で前回までに作成したH23.3.31のX社の財務諸表を見てみます。

この貸借対照表と損益計算書は「負債の時価評価」をする前の段階です。これに「社債」の時価評価の以下の仕訳を付け加えてみます。
本来であれば「利率と債券価値」のところで見たような仮説に基づいてX社社債の市場価格を考えるべきではありますが、その前提になるデフォルト社数が存在しないため、ざっくり200,000からに177,912に22,088ほどX社社債の市場価格が下がったものとして考えます。それほど根拠がある数字ではなく無意味に近いので計算過程は重要じゃないですが、一応一番下の方に載せておきます。

負債が目減りして、その分「収益」が増えました。裏側(X社社債の債権者側)の仕訳と見事に?表裏の関係になります。またこの仕訳によって貸借対照表の負債の額が時価評価後の金額=X社債の市場価格になります。

次に、この仕訳を踏まえた財務諸表を見てみます。

第二期目は赤字だったはずの損益計算書は、「負債評価益」によって「黒字」になりました!実際に「実現」していない買入償還(自社債の安値買取)が「あったもの」として考えた結果、こうなりました。
別の言い方をすると

自分の会社の信用状態が悪化したお陰で黒字になった

という不思議なことになった訳です。常識的ではないのは確かですね。

更にいうと、貸借対照表の総資産(左側の合計)は前期よりは減ってます。ただし、負債評価の前と後で資産総額は変わりません。これは負債がゼロになるまで切り捨てた(評価益を計上した)としても同じです。図の大きな丸矢印(青色)のように、社債の切捨て⇒負債評価益の計上⇒当期利益の押し上げ⇒繰越利益の押し上げという形で循環しているからなのですが、要するにこれを単純に仕訳すると、

借方  社債  22,088 /  貸方 繰越利益  22,088

(負債が減って、繰越利益=純資産額が増える)

ということになります。つまり資産の増減は関係がない。この仕訳の流れが図の丸矢印(赤色)です。正しい会計処理は青色の丸矢印ですが、イメージとしては赤色の丸矢印のようになります。上のような仕訳をしない理由は、そうやってしまうと損益計算書に当期の利益が正しく反映されないためです。

この「負債評価によって当期利益・繰越利益が増えたが、その前後では資産総額は変わらない」ということは、結局のところX社の財産の規模が縮小したことには変わりがないということになります。

上のことも踏まえても、「負債評価益」そのものはプギャー9cmなように思えたりもしますが、敢えて「そうじゃない(かもしれない)」と言ってみます。
さて何ででしょうか?(爆

次回以降そう思う理由を考えてみます。
(まとまるんだろうか。。。)

<社債の177,912の算定方法>

A社社債150,000:X社社債200,000=A社債時価評価後の額133,434:X社債時価評価後の額 Z

で Z=177,912と求めました。
実際にはこういう過程では求めませんのでほとんど意味のない数値ではありますが、何となくそれっぽい数値にはなりましたね。

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負債の時価評価」への2件のフィードバック

  1. なんか、次がwktkですw
    不祥事などで売上が皆無になり明らかに債務返済不能状態で
    決算を迎えた場合に負債を時価評価して、

    負債を例えば 0 にしたとすると、

    資産が9割減したとしても、負債が0で、
    純利益とか…

    うーむw

    • そうそう。究極的にはそういう話です。突き詰めていくと、デフォルトするしないにかかわらず、負債を時価評価するってことは返済できる金額=その会社の負債の額、ということになります。その過程で計上されることになる利益の意味を考えましょう、というのが次の話です。

      当たり前の話ではあるので過度にwktkされてしまっても焦るんですがw

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