鳩山不況がやってきた

前回までは社債の時価評価と利率の関係についてまとめてみました。今回は株式会社X社の第二期目H22.4.1〜H23.3.31について見てみます。この期間に政府の失策により先の見えない不況がやってきて、X社の市場における信用状態が悪化したと仮定します。仮定、、、?

そもそもX社の「信用状態が悪化する」というのはどういう状態になったことをいうのでしょうか?
信用リスクとは貸倒のリスク、という意味ですので、X社の信用状態が悪化したということは、X社から元本なり利息を回収できない恐れが高まる、ということになります。

では何をもってX社の「信用状態が悪化した」と判断するのでしょう?それはX社の「資産価値」つまり純資産額がどうなったかで考えることになります。

純資産 = 資産 - 負債

です。日本の会計基準では「負債は時価評価しない」ため、純資産額が減るということはイコール「資産が減る」ということになります。売上が減って利益が減るなど営業状態が悪化した場合でも、その結果は現金が減るなどの形で最終的には貸借対照表に必ず反映されます(仕訳などで説明もできるのですが、また別の話になってしまうため省略します)。
つまり、X社の信用状態が悪化するということは、「X社の資産総額が減った」ということになります。
このあたりのことをX社の第二期H22.4.1〜H23.3.31の一年間を通じてまとめてみます。ちなみに保有している日本国債については変動はないものと仮定しました。そのへんのことはまたいずれ。

X社第二期 鳩山不況

クーポン利息を受け取り、自社債の利息を支払ったことにより、確かに前期と同額だけの現金が増えました。しかし、A社社債の市場価格が下落したことから評価損が発生したため、X社の資産総額は前期末よりも減ってしまいました。負債額は変わりませんので、差額である純資産額も減ったことになります。
繰越利益は会社設立からその決算までの「累積の利益」ですので、毎年黒字を計上していれば繰越利益が減ることはありません。当期は赤字でしたので、その赤字の額だけ前期よりも繰越利益が減りました。

繰越利益が減るということは原因は何であれ、赤字により減る訳ですから、その会社の収益力(利益を残す力)が減ったことを意味します。利益が残らないということは、このまま行くと最終的には現預金が尽きることになり、市場(投資家)としては魅力が薄れる=評価が下げざるを得ない、ということになります。
また、A社の状況がもっと悪かった場合には、さらにA社社債の価値も減りますのでX社側で計上すべき評価損も多くなります。場合によっては負債よりも資産の方が少ない=債務超過に陥ったかもしれません。これは日本の会計基準では「負債は時価評価しない」ことが原因です。
例えばX社の社債を保有している側でX社社債の評価損を計上したとしても、X社の貸借対照表に記載されている負債の額は変わりませんので、資産が激減すれば負債の方が多い状態になります。時価会計を徹底するならば負債の時価評価もすべきですが、今のところ日本ではそういう仕組みにはなっていません。以前少し触れた「貸借対照表は財産状況を正確に表しているとは言えない」という理由は、結局のところ

『 債権者の債権額と債務者の債務額が一致しない 』

という点にあります。
A社社債について言えば、X社が保有するA社社債の貸借対照表価額133,434と、A社の貸借対照表に記載されている負債の額150,000は一致していません。このズレはX社が評価損を計上したことで発生しましたが、もしも負債も時価評価するルールになってるのだとすれば(A社が自社債を市場価格に評価し直せば)、それぞれ133,434の債権債務の関係になるため、このズレはなくなります。この辺は核心の話ではあるのですが、ちょっと保留にしておきます。

あ、ごめんなさい。「資産総額が減って、純資産が増えて、なおかつその会社の信用状態が悪化する」という事態はあり得ます。それは「資産の減少よりも負債の減少のほうが上回る場合」です。ここでの説明は省略しますが、これのよい例?がおそらく少し前の韓国だったかと。

簡単に言うと、

当期の仕入れを極端に減らす⇒代金支払いの量のほうが多いため、買掛や手形の残高が減る⇒当期の売り上げのための売り物は前期の仕入れで賄う⇒期末在庫が減る⇒売上げは凹んでもとりあえず利益は出る

こんな流れだったような。。。でも、在庫が減るということは「翌期の売り物がない」ということなので、翌期の売上どうするの?というオチでした。「在庫大放出」みたいな話ですね。あやふやなので藪蛇かもしれません。

X社の第二期目は赤字が発生したため、「債務超過」にならないまでも資産総額が前期比で減ってしまいました。次回は、このH23.3.31にA社側で取り得る行動、「社債の買入償還」について見てみます。

広告

鳩山不況がやってきた」への3件のフィードバック

  1. 勉強しに来ましたー
    フムフム…
    例えば、TBSなんかが、本業では赤字、今後も収益拡大は見込めない…
    で、不動産評価額だけ上昇していたので、それを全て売却して
    借金返済しバランスシートを圧縮、一応不動産売却益が
    本業の赤字をカバーして最終黒字確保→純資産増加
    しかしこれによりTBSは、市場縮小傾向にある本業の資産しかなくなってしまった。

    といった場合、はたから見てると
    売却可能優良不動産という、いわば価値ある流動資産がなくなり、
    本業に使うので売却もままならず、まして将来時価が暴落しそうな資産しかなくなるので、
    「もうこの会社あかん」
    ってなると思いますが、これも一応純資産増加→信用悪化の
    パターンに入りますか?

  2. そういうことになるのかもしれないですが、よく分からなくなってきましたwというのは、売却するということは、対価としての預金が増えることになるので、一概に資産の減少→総資産の減少とは限らないからです。その後にもうワンステップあって、人件費や維持管理費など売上に対応しない期間費用が嵩んで売却によって得た資金が流出してしまう、ということも重なるということになるはずです。

    TBSの決算書類は詳しくは見てないのですが、不動産の他にも株式を相当数保有してるようなので、これらの売却によって当面は生きながらえるかもしれないですが、不動産や株式を売るってことはタコ足食いであることには変わりませんし、今のご時世では含み益も消えていくでしょうから、資金繰りが相当に厳しいことも考えると先は長くないと思います。三橋さんたちの企むアレは大穴として「潰れたTBSの後釜に入る」というものを夢想したりしてますが、さすがに難しいでしょうかねw

    • なるほど。。。ありがとうございます。
      いや、TBSについては私もぜんっぜんしりませんw
      完全なるフィクションですw

      ふむ・・・三橋さんが何をたくらんでいるのか
      全く分かりませんが…この現状だと大きな期待をしてしまいますw

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中