安い社債を買うということ

前回はX社が保有するA社社債の市場価格や時価評価のプロセスを見てみました。今回は前回計算して求めた市場価格で売却した場合に、それを購入した側ではどうなるのかについて考えてみます。

まずおさらい。
H21.4.1発行のA社社債をX社は以下の条件で市場にて購入しました。

額面金額:150,000

償還日:H24.3.31(3年間)

約定利子率:5.68%(年額8,520)

H23.3.31(2年経過)、A社社債の時価は133,434に下落(△16,566)しました。実効利子率は18.8%です。この債券を他の投資家P社に時価で売却したとします。

これを仕訳で考えてみるとこうなります↓

A社社債の売買

ここで注意しなくてはならないことが2つあります。
一つはP社が取得したA社社債の取得価額は、150,000ではなく133,434だということです。取得価額=取得時の時価なので、この時点でP社が取得したA社社債は150,000ではありません。150,000という金額はあくまでも「償還を受ける金額」です。
二つ目は、この社債にくっ付いている利払日H23.3.31のクーポン利息ですが、これはX社が受け取ることになります。この利息にかかるH22.4.1〜H23.3.31の一年間に元本150,000を提供していたのはX社だからです。もし売却の時点がH22.9.30(半年経過)だったら、売買の時点でP社がX社に売買代金に半年分の利息を上乗せして支払う(そしてP社はA社から利払日に一年分のクーポン利息を受け取る)ことになります。要するに、社債権者が保有期間に応じてクーポン利息を受け取る、ということです。

さて、次はP社がこのままA社社債を償還日H24.3.31まで保有した場合の仕訳と財務諸表の一部を見てみます。P社の事業年度は4.1〜3.31とします。

P社購入~償還

P社が購入したA社社債は取得価額133,434でしたが、一年後の満期日に回収した金額は150,000でした。これはなぜでしょうか?

もちろん「そういう約束で購入したんだから当たり前だろ」と言われてしまうとその通りなんですが(汗、その裏付けとなるのが実効利子率18.8%です。実効利子率は「際に利息としての果がある利子率」という意味です。約定利子率は時価がどう変動しようとも変わりませんが、実効利子率は時価と額面金額との差が大きいほど高くなります。

P社のA社社債の取得価額133,434に実効利子率18.8%をかけると16,566になりますが、これは取得価額と償還金額との差額に一致します。そもそも実効利子率を求める過程を思い起こすと、150,000から起算(逆算)して1.188で割り引いた金額が取得価額の133,434でしたので、当たり前の話ではあります。ですから、この16,566という金額は利息に相当するということになります。図にするとこんな感じ↓

償還差額は利息

年利18.8%という数字はおそらく相場からすると高い気もします。そのため「投機的な見方」をするとすごく魅力的なようにも思えます。何せ133,434で買ったモノが、一年後には25,086増えて158,520になって返ってくるんですから確かにこれはスゴイ。でも「投資」とか「運用」というもう少し堅実な観点からすると、利率が高いということはその分リスクも高い(だから市場価値も低かった)訳ですし、「儲かりそうだ」とウハウハの状態でガンガン買い込んでしまうと危険ですね(国債利率を上回る部分=信用リスクを抱え込むことの対価なので)。それに危険な債券を買うということはそれが金融機関であれば、以前お話した「BIS規制」の自己資本比率の分母(リスク資産)が増えてしまうことにもなります。この分母が増え過ぎてしまうと自己資本比率が下がって業務停止になります(極論を言えば)。

社債の話はとりあえずはこれでおしまい。次はX社の第二期目を見ていきます。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中