社債ってなんだ?

前回は負債の意味と貸借対照表の意味についてまとめてみました。おさらいすると、

負債は「誰かに何かをしなければならない義務」、貸借対照表は「資金を誰からどういう方法で調達し、どういう形で残っているのか(どのように運用しているのか)」を意味する。ただし、「時価」が一部しか反映されていないため、正確な財産の「状況を表す」とは言えない。

ということでした。
今回はX株式会社の設立~営業開始~第一期の決算までの流れを通じて、「社債」の意味について考えてみようと思います。

X社の設立日は平成21年4月1日

事業年度は3月31日までの毎年一年間

業種は金融業(利息以外の収益・費用はない)

として考えていきます。

まず社債について。社債は「この額面金額を、記載された期日に支払います。利息も記載された期日に○○%支払います」という内容を記載した「債券」を、市場(投資家)に販売することで資金を調達するための手段です。「債券」を買う側が債権者となり帳簿には「有価証券」という資産が計上されます。「債券」を売る側は債務者で、帳簿には「社債」という負債が計上されます。裏と表の関係ですね。

社債とは

上の図は日本国債、A社債、X社(当社)社債を「イメージ」した図です。なぜ「イメージ」かというと私は国債や社債の実物を見たことがないからです(爆。ただ、簿記のテキストの「社債」の項にはたいていこんな絵が描かれていますし、だいたいのイメージとしては合ってると思います。(ちなみに紙面では発行しないという形で社債を発行することもできるようです。)

社債(公債)には額面金額が書かれています。この額面金額は「この金額を満期日(償還期日)に支払います」という約束の金額です。以下の例では「額面金額」で平価購入・平価発行したものとして考えていきます。平価でない発行形態には割引とか打歩とかありますが、またそのうちこれもまとめてみます。

下半分の「利札」には、「社債の額面金額×利率」の金額(=利息)が書かれています。これを毎年利払日に切り取って銀行へ持ち込むと、現金に換金してもらえます。上の図の例では、それぞれ償還期日まで利払日が3回ありますので、利札は3枚ずつくっついています。

左二つの「日本国債」と「A社社債」は会社設立当日に市場にて発行日に「時価で」購入したものです。この国債と社債はX社にとっての資産になります。また、右のX社社債は会社設立当日に市場にて売りに出したものです。

 

ちなみにA社社債、日本国債、X社社債の利率は適当に決めましたが、受け取る利息と支払う利息の差額がプラスになる(利益が出る)ように設定しました。そもそも金融業は、借りたお金を運用して利鞘を稼ぐのが商売ですので、資金の調達コスト(支払利息)が運用益(受取利息)を上回ることはあり得ません。調達コスト>運用益で営業してしまうと確実に赤字になります。ただし、日本国債の場合は別です。日本国債は金利が「一番低い」ので、これよりも調達コストが低い(=国債よりも利率が低い=無リスクである国債よりもさらにリスクが低い)ということは、同じくこれもあり得ない、という前提です。

ここまでの前提と流れを仕訳して、業務開始時点での貸借対照表を作成してみると以下のようになります↓

開業まで

下の方にある図は「誰かの債権は誰かの債務」という考え方を図にしたものです。このお話に限ったことではないですが、これは大事な考え方です。X社がA社や政府の債権を持つということはA社や政府はX社に債務がある、またX社が社債を発行するということは社債権者がX社の債権を持つ、また株主から資本を調達するということは株主はX社の株を持つ、ということになります。

以下は日常業務を経て第一期目の決算までの流れです。「日常業務」と言ってもこの場合「利息の支払」と「利息の受け取り」以外にはやることないのですが。。。

第一期決算まで

ちょっとしつこいですが、金融資産である有価証券については「時価評価」をしています。その結果、市場での価格がA社社債が150,000、日本国債が150,000であった、ということです(実際には市場価額が全く変動しないということはあり得ません)。また、負債であるX社社債についてはもともと時価評価はしません。

ついでに「時価評価」をするタイミングは決算の時点です。計算期間中の時価の変動は貸借対照表には反映されません。なぜなら、貸借対照表は「決算日時点」での「(表向きは)財産状況を表すもの」なので、時価が一年間にどう変動しようとも決算日時点での時価は「一つ」だからです。

結果的にX社は、第一期目は平穏無事に5,000の利益が創出できました。

 

次回はX社の第二期目を見ていく前に、市場で売り出される社債の利率は一体どうやって決まるのか、その決まり方について考えてみます。ほーら、長くなったw

広告

社債ってなんだ?」への5件のフィードバック

  1. 最初からやっと追いつきました~!
    初めて書き込みます、みすずちん(旧名:revalとかohatとかw)です。
    勝手に名前変えてすみませんw
    物凄く勉強になります!今後もよろしくお願いします~!
    去年、無職ながらずっと簿記の勉強をしていたので、タイムリーでありがたいですw

    ところで、1つ質問なのですが、先日の粉飾決算のところの 3お上はみている
    のところが難しかったのですけれど、

    架空売上系常時は、架空売上による利益水増し分にかかる
    法人税も納付することになるのでしょうか?
    つまり納税申告書?にそれを反映させるというか・・・すみませんwうまくいえませんがw

    • こんにちは。ある日突然お名前が変わってしまったので「リンク貼り間違えた!?」と、かなり焦りましたw簿記お勉強中とのことで、多少なりともお役に立てたのであれば幸いです。私は簿記は自信がありますが、マクロとかミクロとか、とにかく「経済」はあやしいところがあります。というか、自覚としては全然ダメダメ状態。なので、こちらこそよろしくお願いいたします。

      お尋ねの件ですが、おっしゃる通り架空の売り上げ計上によって利益が水増しされていたのだとしても、その決算にかかる法人税の計算においては考慮されません。粉飾決算のエントリーに先ほど図を追加してみたのですが、法人税の計算は損益計算書の最終損益である「当期純利益」からスタートします。もともと法人税の計算過程では(というか世の中の常識として)、利益を水増しすることを想定していません。そのため、架空売り上げを申告書上で(利益から)「減算」することはありません。

      あり得るとすれば「更正の請求」という形で、「計算間違い」により納付税額が過払いになった分の返還請求をすることは1年以内であれば可能は可能です。ただ、その過程は申告書にハッキリ記載されますので、銀行さんにはバレバレになります。

      桐のタンスを力いっぱい閉めるとほかの引き出しがボコッと開きますが、あんな感じでうまい具合に?悪いことはできないようになってます。

      • elg35さん
        おお・・・ワザワザありがとうございます。
        私は簿記も経済もまだまだビギナーですよ。
        三橋さんとヨッシーニさんに勉強させてもらった世代ですw
        で、elg35さんの簿記的シリーズは、お二方のマクロ的視点とは
        また違って、痒いところに手が届く内容で感動しています。
        いや、おーげさでなくw

        なるほど…つまり、資金繰りのために経営者が
        架空利益を計上し、税金を多めに納付したとしても、
        翌年度以降に架空資産の損失計上する際は、
        厄介な問題が起こりえますよ・・・ということでしょうかw

        ややこしいですーw
        ところで、例えばこの例のような場合なんですけど、
        実際に本当に貸し倒れた場合と、架空資産損失計上の区別って、
        出来るものなのですか?貸倒れ時の債務者側の情報とかって、
        税務署が全部調べたりしてるのでしょうか。
        実務的な部分は見当もつかなくてすみません…。

        あ、ところで、
        http://ameblo.jp/reval/entry-10386820687.htm
        返事きたんですけど、何か全然ダメでした・・・orz
        私の質問もなんかキレ気味だったし、稚拙で悪かったと思いますけどねw
        まぁ、また質問してみます~♪

        • そうですねー。。。
          お気付きかと思いますが、簿記は所詮は勘定科目ごとの足し算引き算の繰り返しです。つまり弄ろうと思えばどうとでも弄れてしまう。それ故に会計基準があったり監査法人なんて恐ろしい組織があったりします。
          一方、日本の税制は固定資産税のように課税する側が税額を計算して賦課する「賦課課税方式」と、法人税や消費税、申告所得税のように納税義務者が申告書を自ら作成して納税額を計算して納める「申告納税方式」に大別できます。つまり法人税の計算は「みんなが正しく税額計算をすること」が大前提になってます。
          ですので、本来ダメなはずの架空の売掛金の損金算入についても、この「簿記は所詮テクニック」「申告納税方式」の二点を悪用すれば、バレないで済ませられるかもしれません。

          ただし、バレた時のことを考えると、ちびるくらい恐ろしいです。上の例ではそれが悪質と認められれば重加算税(税額が4割増しくらい)、認定賞与扱いになったら源泉所得税とその徴収漏れ、不納付加算税、住民税などなどがかかりますし、これらは全て費用だけれども損金ではありません。下手したら各税法違反で逮捕も有り得ます。厄介どころじゃないですね。。。

          要は、「国税敵に回した鳩山センセイは度胸ありますねー」ということですw

          財務省のお返事の件、ありがとうございます。後でじっくりと拝見させていただきます。

  2. どうもありがとうございます。
    今後も楽しみにしてます…って
    新しい記事発見!
    そちらにむかいます~

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中