簿記的に見た経済の話 <閑話休題> 簿記ってなんだ?

「経済のはなし」ばかりだと(私の)少ない頭が狂いそうになるので、私なりの簿記観?について、今までのおさらいと<その6>の前提も兼ねて少し書いてみます。

その前に「借方」「貸方」について。

借方=か『り』かた=は左にハネるので左側、
貸方=か『し』かた=は右にハネるので右側です。
語源は古代ローマ時代のうんたらかんたらという話があるそうですが、実務ではハネの向きのほうが余程ためになります。この文章も「り」とか「し」と手書きしながら書いていますw

さて、「簿記」について。
簿記の目的は二つあります。一つは「ある期間の損益を明らかにすること」、もう一つは「その期間の末日時点の財産の状況を明らかにすること」です。前者の目的により作成されるのが「損益計算書」、後者が「貸借対照表」です。それらを作成するための基本作業となるのが「仕訳」ですが、仕訳により使うのが「勘定科目」です。一年間ひたすら仕訳を切り、総勘定元帳に転記し、金額を集計していくことで財務諸表が出来上がります。
金額の求め方はめんどくさかったりもしますが、ルールというか原理は単純明快で主に4つあります。

1.<仕訳は資産、負債、資本、収益、費用のどれかの増減>
仕訳に登場する勘定科目は、全て貸借対照表の「資産」「負債」「資本」、損益計算書の「収益」「費用」の五つの項目の必ずどれかに該当します。実際は資本の増減は滅多にないので四つと言うべきかも。
資産と費用は借方が定位置、負債と資本と収益は貸方が定位置です。つまりそれぞれが増える時は科目は定位置側に来る、減る時は反対側に来る、ということになります。これは超重要ですが、これさえ分かれば簿記は半分は理解できたようなもんです。これら五項目の増減の組み合わせによって仕訳のパターンが決まってきます。

科目の定位置(というか配置)は↓こんな感じ。

科目の配置

 

 

<仕訳例>
例1:現金で商品100円を売り上げた。
現金という資産が増えて、売上という収益が増えます。
仕訳は、
借方  現金  100   /   貸方   売上  100
となります。

例2:銀行へ利息とともに元本を現金で返済した。
借入金という負債が減り支払利息という費用が増え、現金という資産が減ります。
仕訳は、
借方  借入金  100  /   貸方  現金  105
支払利息       5 /
となります。

例3:貸付金100が貸し倒れた。
引当金を計上しているのであれば、貸付金という資産が減り、貸倒引当金という負債が減ります。
仕訳は、
借方  貸倒引当金  100 / 貸方  貸付金  100
となります。
引当金を計上していないのであれば、貸倒損失という費用が増えて、貸付金という資産が減ります。
仕訳は、
借方  貸倒損失  100 / 貸方  貸付金  100
となります。
ちなみに「貸倒引当金」は前期以前に翌期以降に発生すると見込まれる貸倒損失を予め計上したものです。

不思議と言えば不思議ですが、全ての取引は金額さえ与えられれば「仕訳」を起こすことが出来ます。その積み重ねが貸借対照表と損益計算書になります。

2.<損益計算書と貸借対照表は利益でつながっている>
損益計算書は「一定期間の」収益と費用、またその差額としての利益を表示しています。従って決算日を過ぎるとゼロから集計し直します。累計してしまうと前期の売上がいくらだったのかサッパリ分からないことになるためです。
貸借対照表はその期間の末日時点での財産の状況を表示しています。つまり、期間損益とは違い創業以来の資産負債の増減全てが残高として反映されています。ゼロに戻すことは会社が継続している以上は有り得ず、その時は会社をたたむ時です。

総収益から法人税など含む総費用を引いた差額が最終の利益になります。会社の株主はこれを得るために起業したわけで、この最終利益から株主の配当を出します。会社法の規定により全てを配当として「社外流出」させることはできないので、残りを「内部留保」することになります。この留保した残りが次の期間への繰越利益として貸借対照表の純資産の部に加算されていきます。もし毎期毎期赤字ばかりが続くと、貸借対照表の繰越利益剰余金はマイナスになります。構造的には資産(借方)として積み上げていくべき支出を、費用(借方)として毎期切り捨ててしまっている状態です。
ちなみに第一期目の損益計算書の当期利益と貸借対照表の繰越利益は前期からの繰越がないため同額になります。ならなければそれは集計ミスですw

3.<借方と貸方はバランスする>
仕訳を起こす際に、右と左の金額が違うということはあり得ません。あるとすれば単なるミスです。仕訳の積み上げが貸借対照表と損益計算書ですが、途中で収益・費用と資産・負債・資本に「元帳への転記」という作業を通して振り分けていきます。
損と益には差額が出ますが、この差額が当期の利益。収益=費用+利益で左右は「バランス」します。
資産と負債・資本にも差額が出ます。この差額が繰越利益。資産=負債+資本+繰越利益で左右がやはりこちらも「バランス」します。

4.<売上対応又は期間対応しない費用は資産に振り替える>
売上対応の費用とは「原価」と呼ばれるものです。例えば100台クルマを仕入れて70台しか売れなければ、残った30台は「棚卸資産」として費用(借方)をマイナスして資産(借方)にプラスします。こうすることでクルマ70台に対応する70台分の費用と粗利益が求められます。資産に振り替えた30台分のクルマは、次期以降の費用として次期に費用に振り替えます。売れ残ればまた資産に戻す、という感じです。
期間対応の費用とは、仕入原価以外の費用をいいます。例えば支払利息。借り入れをした時に利息を1年分先払いしたとします。でも決算期までは半年しかないといった場合、今期半年分の利息(費用)しか損益計上しません。残り半年分は「前払費用」という資産に振り替えます。貸付けにかかる受取利息も同様に考えます。こうすることでその期間に負担すべき費用(得るべき収益)を求めることができます。
このルールによって『当期の』利益を損益計算書で見ることが出来ることになります。

この4点さえ抑えれば、トヨタやお勤め先、引いては日本国政府の決算書をある程度は読み取ることができます。

個人的には「漢字」「西洋音階」「複式簿記」の3つは人類が得た三種の神器だと思ってます(あくまで私が理解できる範囲で、ですが)。
簿記をまだ学習していない方は今こそこの武器を手に入れる時です。さあ、みんなでLet’s簿記!

<<追記>>

開業から決算、財務諸表までの流れをまとめてみました。
ホントはもっとやることはありますが、流れとしてはこんな感じです↓

簿記一巡

 

 

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簿記的に見た経済の話 <閑話休題> 簿記ってなんだ?」への4件のフィードバック

  1. 初めまして、簿記の勉強に頭を悩ませている者です。
    開業から決算、財務諸表までの流れをまとめられた表が画像が荒くなってしまい読めないのが残念です。
    表の原本を見ることは可能でしょうか
    頭をまとめるのに、とてもよさそうな気がしております
    よろしくお願いいたします。

    • こんにちは。確かに拡大するとダメダメですね。。。実は元データ(といってもエクセルで作ったものをPDFにしただけなのですが)、方々探してみたのですが見つかりません。うpしたのが3年前なので。。。ということで申し訳ありません。自分でも気合い入れて作ったはずなんですけど残念です。

      学習上どんな点が分かりませんか?私は10年前に独学で3級から始めたのですが、すでに苦労した記憶すらも曖昧になってしまっています。もしよろしければ考え方のツボなどお知らせ出来ますが。
      ただ、8月始めに受験があるので即答というわけにはなかなかいきませんが、よかったら質問などご投稿ください。

      あ、ちなみにBlogのタイトルはSHARPの名機ELG35から頂いてます。使いやすいですよ。

  2. お返事ありがとうございます。
    ただいま簿記2級の試験を11月に受ける予定で勉強しております。
    自分の頭の固さに飽きれながらですが
    元データ探していただきありがとうございました。自分なりに作ってみようと思います。
    ちなみに私の利用している計算機はSHARPのELG36ですELG35の後継機です、
    使いやすいですね

    それと、、大林組の宇宙エレベーターの記事面白かったです!

    • 簿記の勉強、是非是非頑張ってください。絶対に一生の糧になりますよ。
      もともとこのブログは日本国家の経済や財政を簿記的に読み解こうというのが主旨でした。かなり中途半端でしたがw
      簿記が分かると昨今の増税志向の論議がいかに馬鹿げているか、誰が「ポジショントーク」してるのかがよく見えてきますし、増税による国民経済への負荷がどれだけ罪深いものかがよく分かります。
      私は「国家のバランスシート」を見た時のインパクトは忘れられません。一気に霧が晴れた気分です。極端な話、人生観が変わりますよ。

      あと、お求めの表は自宅のUSBも探しましたが見つからなかったです。残念!でも基本はテキストに載ってる「簿記一巡の手続き」です。簿記は「仕訳が全て」「何が増えて何が減るのか」を意識すれば後は細かい規定を叩き込むだけです。

      長々と失礼しました。Let’s簿記!

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