簿記的に見た経済の話 <その4> 利率ってなんだ?

前回は日本国としての財産の状況(資産、負債)を見てみた。今回は国の負債について見てみることにしようと思ったがやっぱりやめて、その前に利息や利率の意味について考えてみることにする。

「利息」とは、金銭の貸し借りという役務提供の対価として支払われるべき、又は受け取るべき収益・費用だ。貸付側は受取利息を収受し、借入側は支払利息を支払う。銀行は貸すことが仕事なので、受取利息は本業としての収益、売上になる。借入れる側の企業にとってはお金を借りること自体は本業ではないので、支払利息は「営業外」費用となる。

「利息」はどうやって決まるのだろうか?基本的には貸す側が決めるのだが、借りる側は借りないことで「それでは嫌だ」という意思表示をすることはできる。つまり「市場原理」で決まる、ということだ。簿記的に見ていくと見えてくるものがある。

1.需要と供給
2.貸倒リスク

ここではこの二点について整理していきたい。

<1.需要と供給について>
利息に限ったことではないし簿記すらあまり関係ないが、モノやサービスの値段は需要と供給のバランスで決まってくる。バドワイザーの売り子さんであるバドガールはどこへ行くべきか。

灼熱のサハラ砂漠
暑いので一本20,000円でも売れるだろうけど、買ってくれる人がいない!交通費も掛かる。

真夏の甲子園
人出は多いし暑いので800円でもイケるかも。でも同業者が多いので500円くらいがちょうど良い。でも交通費がかかる。

冬の荒川遊園地
人はそこそこいるだろうけど川沿いで寒い。でも売店の一本500円に対抗して300円ならそこそこ売れるかも。自転車で行けるし。

こんな感じでモノを売る側が手元に「残したい利益」を考えつつ、「買い手の動向」を探りながら決めていく。売れればいい、というものではないということだ。

利率についても同様のことが言える。ある程度政策的に決まってくるとはいっても、借入を必要としていない企業に、銀行が年利10%の融資を勧めても断られるだろう。でも0.5%なら借りてくれるかもしれない。けれどもそれでは元が取れない。逆にどうしても借りたい企業に対しては年利7%など強気に行くことができるかもしれないが、他行に流れることもあるかもしれない。

<2.リスクについて>
お金の貸し借りが成立するのは借りる側がきちんと返済できることが大前提となる。これは1とも関係してくるだろうが、銀行の利率と町金融の利率の違いを考えると分かりやすい。ここでいう町金融とは銀行や信販会社より、グレー・ブラックな業態一般を指す。

町金融の利率が銀行の利率よりも高いのはなぜか。それは貸倒リスクが高いからだ。審査の厳しい銀行からの融資を断られた人が、審査の緩い町金融へ融資を申し込む場合が多い。「審査」とは何だろうか?銀行で融資を申し込む際、細かい審査がある。その会社の売上げ、利益の多寡、操業年数、BS上の資産の価値、借入実績・返済実績、社長の年齢などなど。どれも「貸しても確実に約定どおりに回収できるのか」の判断基準となるものだ。もしリスクが高いと判断されれば利率を釣り上げたり融資額が減額されたり、融資そのものが断られたりする。
町金融では審査はそれほど厳しくない。その代り銀行の低利融資を断られた人(審査が通らなかった人)が向かう先だから、貸倒リスクは当然高い。審査基準は当然低くなり、リスクが高い人でも借りることができる。ただし、貸す側としてはリスクを抱える分、対価も高めに設定しなくては危険が大きい。「取れるうちに取っておかなくてはならない」ということ。また、1とも関係してくるが「どうしても」借りたい人が不本意ながらも借りに行くため需要は高い状態でもある。つまり貸付というサービスを売る側としては、かなり高くても売れるのだ。1の需給バランスに加えて借り手の貸倒リスクによっても、利率は決まってくる。

まとめ

○利率は資金の需給バランスと借り手の貸倒リスクによって決まってくる。
○決めるのは貸し手と借り手をひっくるめた「市場」が決める。

簿記とはほとんど関係ない話だったけれども、「借金」のコストやリスクを考える上では大事な話だと思う。何せ我らが日本政府は財政破綻の危機にあると政治家や財務官僚は言っているし、もし日本国政府の財政が破綻してしまえば、家計や企業が銀行を通して国に貸し付けている日本国債も紙屑になってしまうことになる。つまり銀行に預けておくこと自体が危険になってくる。
もし「財政破綻の危機」が事実ならとんでもないことだし、もし事実でないなら私たちの認識を改めなくてはならない

次こそはそのあたりの「国債」のことを考えてみる。

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